「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」を読み終えた。
著者は青木薫氏 翻訳家で。理学系の翻訳を手がけているようだ。
翻訳家。 山形県生まれ。京都大学理学部卒業、1984年同大学院博士課程修了、「原子核間ポテンシャルのパリティ依存性及び角運動量依存性に関する微視的研究」で理学博士。専門は理論物理学。2007年度日本数学会出版賞受賞
こういった物理学や数学の本を多数翻訳されているようだ。
この本のタイトルにある「人間原理」とは、なんだろう。 この考えは20世紀になって登場したようだ。
「宇宙がなぜこのような宇宙であるのかを理解するためには、われわれが人間が現に存在しているという事実を考慮にいれなければならない」
宗教的な哲学的な感じがする。著者は否定的な考えをもっていたようだ。
しかし、
元も天動説を信じる時代があって、コペルニクスが地動説を唱え、それからはしかし、人間自身の存在を知ることも宇宙を知る上で必要ではないかと言う
たしかに、もしも宇宙がこのような宇宙でなかったとしたら、われわれ人間は存在しなかっただろう。地球も太陽も存在しなかっただろうし、銀河系も存在しなかっただろう。しかし、だからどうだろう?
著者は、マーティン・リースの「宇宙の素顔」を翻訳することで、人間原理に対する考えて変わっていったようだ。
20世紀は物理学にとって、激動の時代だったようだ。
原子がアトムと
20世紀初めには、電磁力と重力という、二つの力しか知られていなかったが、その後「強い力」「弱い力」という、非常に短い距離でしか働かない力が存在することが明らかになった。
本当に、今の宇宙は微妙な力関係で、なりたっているようだ。
これらの四つの力が、少しでも、強かったり弱かったりすると、宇宙の形も変わっていたようだ。
重力が強いと地球上で人間が存在できたかわからない。「強い力」が強いと宇宙は、質量の重い原子が増えて、今のような宇宙や地球ではなかっただろう。
他の力につても同じで、今の力のバランスが今の人間を存在に必要不可欠なバランスだということだ。
「もしも宇宙がこのような宇宙でなかったとしたら、われわれ人間は存在しなかっただろう。」につながる考えだだとおもう。
これらの考えについては、アインシュタイン、コベルニクスなど有名な物理学者や数学者だけでなく多くの物理学者や数学者が挑戦し、宗教との関係を保ちつつ、そこから離れて、「人間原理」を構築してきたのだと思う。
それを突き詰めていく過程で、宇宙は一つではないという考えも生まれ、色々な理論の宇宙が考えられ、今の宇宙はたまたまではないかという考えも生まれたようだ。
科学者としては、たまたまではなく、なんらかの理論があるという信念をもとに、物理学者や数学者は今もなお挑戦している状況だそうだ。
今、過渡期、パラダイムの転換期にあるようだ。
この本は、過去の理論を説明するものでは、大きな転換期にある科学を取り扱っているので、ちょっと、こうなるという思いで読めないが、とても興味深い内容だった。
人類の存在についても考えさせられる内容だった。

宇宙はなぜこのような宇宙なのか――人間原理と宇宙論 (講談社現代新書)
- 作者: 青木薫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/07/18
- メディア: 新書
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